おおつき昆虫記 オオヒラタアトキリゴミムシ

地域の自然史

アトキリゴミムシの仲間の多くは樹上性で、オオヒラタアトキリゴミムシ(オサムシ科)も基本的に樹の上で暮らしています。そのため実際に眼にすることは少ないですが里山を代表する虫の一つです。光沢のある濃い赤っぽい飴色の体と青灰色の大きな眼がよく目立つなかなか美しい姿をしています。

近縁のヒラタアトキリゴミムシはオオヒラタに比べるとやや小ぶりでうわ翅にスジ(条溝)があることで見分けられます。このヒラタアトキリゴミムシはイラガやドクガの幼虫(アカイラガの幼虫:土生ら 1963、ヒメクロイラガの幼虫:Habu 1981、チャドクガ:黒沢 1992)を専門に食べる狭食性捕食者として知られており、茶畑などに発生する害虫を食べてくれる有用な虫です。オオヒラタアトキリゴミムシについては詳しくわかっていないようですが、同様の食性を持つと思われます。

アトキリゴミムシの仲間には、他にもハムシ類の幼虫を専門に食べるもの(コルリアトキリゴミムシ:カミナリハムシ類の幼虫を食べる :笠原 1999)、ゴミムシの仲間としては珍しく好蟻性のもの(アリスアトキリゴミムシ:カワラケアリを宿主とする:豊田 2000)などがいてなかなか面白そうなグループです。

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