おおつき昆虫記 アミメアリ

地域の自然史

アミメアリはおおつきで一番よく見かけるアリの一つです。東南アジアから東アジアにかけて広く分布する種で、頭や胸の表面に細かい縮れたシワのようなものがあり、網目模様になっているのが特徴です。

吸蜜性のアリでクヌギなどの樹液などによく集まります。また、甘いものを求めて家の中に侵入してくることも多く、砂糖やお菓子、果物などに群がります。

このようにアミメアリは私たちにとってもっとも「普通」なアリの一つですが、その暮らしぶりはとても変わっています。

多くのアリは土の中や朽木の中などに巣をつくり、そこに定住します。しかし、アミメアリは決まった巣を持たず、石や倒木の下などに野営しながら、餌を求めて頻繁に引っ越し(集団移動)を繰り返して暮らしています。移動の際には卵や幼虫、サナギを口にくわえて運びます。道端や庭など人家の近くでもこの行列をよく目にします。

また、普通のアリは女王アリを中心とした群れを形成し、繁殖、育児、餌集めなどの役割を分担しています。通常、卵を産むのは女王アリのみで、働きアリは繁殖能力を持たないのが普通です。

ところがアミメアリの群れには女王アリというものがいません。群れのほとんどすべてがメスで、オス無しで卵を産み増えていきます。通常のアリのように「分業」というものをしないので、子どもはみんなで協力して育てます。いわばみんなが女王アリであり、働きアリなわけです。

このような社会構造を持つものはアリとしてはかなり特殊で、世界に1万数千種が確認されているなかで、アミメアリを含めて2種類でしか知られていないということです。

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