かたつむり調査 フタのあるかたつむり探し

ふたのあるカタツムリ 地域の自然史

♫でんでんむしむしか~たつむり~と歌われる陸にすむ巻き貝、かたつむり。家のまわりにもたくさんいるのにこれまで種類を調べたことがありませんでした。これではいけない!と思い、カタツムリの調査(勉強)をはじめました。今日は町内の海岸林でふたのあるかたつむりをいくつか採集して、種類を調べてみました。

ふたのあるカタツムリ

陸生貝類は広く「かたつむり」と呼ばれますが、アマオブネガイ類、新生腹足類、有肺類の3つの異なる系統があり、それぞれの分類群が独立して陸上に進出したと考えられています。このなかで一般的な「かたつむり」であるのは有肺類のかたつむりです。アマオブネガイ類、新生腹足類の陸生種は海にすむ巻貝類に近い仲間ですべてフタを持っています。

今日の採集地

今日の採集地は大月町南岸にあるとある浜の後背にある海岸林です。ここは以前、タマヤスデを見つけた場所で、いろんな種類のかたつむりがみつかるいいポイントです。フタありかたつむり3種類のほかにキセルガイの仲間も見つかりました。今回はフタありのほうの種類を調べてみました。

チョココロネガイあらためアズキガイ

今回、一番たくさんいたのがこれです↓

軟体部を出したアズキガイ
こんなやつ。
アズキガイの集団
落ち葉を食べている。
アズキガイの集団
とにかくたくさんいる。ふたは薄い革質。殻は赤い。
樹皮上のアズキガイ
樹の幹にくっついているものもいる

なんでしょうか?これは菓子パン(食べる方の)の「コロネ」に殻の形がそっくりです。身の部分(軟体部)は黒っぽいので「チョココロネ」ですね。コンビニでも売っていて、うちの娘も好んで食べます。

コロネ(コルネ)|円錐形の型に細長く伸ばした生地を巻きつけて焼き、中にガナッシュクリーム(チョコクリーム)やカスタードクリームをつめた甘いパン。名前はフランス語で角や角笛(ホルン)を意味する「Corne」から来ている。

「カタツムリハンドブック」(文一総合出版)という本をパラパラめくるとすぐに何という名前かわかりました。アズキガイ科を代表する種、アズキガイです。アズキガイ科は日本に3種しかいないみたいです。コンパクトでいいですね。

アズキガイの罠

アズキガイに混じってカワザンショウガイみたいな形をした少し小さなカタツムリがたくさんいました。これです↓

アズキガイの幼貝
こちらはカワザンショウのような形の貝殻

なかなか名前が出てこなかったのですが、それもそのはず、これはなんとアズキガイの幼貝でした。ハンドブックの解説にもちゃんと「幼貝は円錐形でおなじ種だと気づきにくい」というようなことが書かれています。写真が載っていなかったのでわかりませんでした。簡単なトラップにみごと引っかかってしまった…。

樹皮上のアズキガイの幼貝
こちらも木の幹に登ります。

タニシのようなカタツムリ→ヤマタニシ(そのまんま)

ほかにはカタツムリらしい形のフタありかたつむりもいました。タニシにそっくりです。これはヤマタニシ(ヤマタニシ科)でした。山に住んでいるタニシのような貝だからヤマタニシ、そのまんまですね。ヤマタニシ科は日本に20種ぐらいいるそうです。

ヤマタニシ
ヤマタニシ

アンモナイト的カタツムリ ヤマクルマガイ

こいつは螺旋の見本のようなカタツムリです。アンモナイト的な古代感があります。ふたの形がとても不思議です。

これはヤマクルマガイ(ヤマクルマガイ科)でした。ヤマクルマガイ科は日本には1種(と3亜種)しかいないそうです。ガンコなやつですね。

フタありカタツムリはわかりやすい(ものもいる)

ここで紹介した3種のフタありカタツムリは探してみると他の場所でもたくさん見つかりました。これらは四国西南地域ではごく普通にみられる種類のようです。形も特徴的でわかりやすいし、それぞれの科を構成する種が少ないところもかたつむり初心者にはやさしいですね。

でも、フタありカタツムリには今回出てきたアズキガイ科、ヤマタニシ科、ヤマクルマガイ科のほかに、ヤマキサゴ科、ムシオイガイ科、ゴマガイ科など比較的多くの種を含むグループもあります。特にムシオイガイ科、ゴマガイ科についてはとても小さな種が多く、近年でも未記載種(新種)が発見されているようなので油断できません。

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